検察官への勤務延長制度等の導入を含む検察庁法改正案の継続審議ではなく撤回を求める声明

2020年5月18日

「法の支配の危機を憂う弁護士の会」
共同代表 弁護士 新 倉   修
(東京弁護士会・青山学院大学名誉教授)
共同代表 弁護士 石 田 法 子
(大阪弁護士会・2014年度日弁連副会長)
共同代表 弁護士 新 里 宏 二
(仙台弁護士会・2011年度日弁連副会長)
共同代表 弁護士 内 山 新 吾
(山口県弁護士会・2015年度日弁連副会長)

 政府が今国会に提出している検察庁法改正を含む「国家公務員等の一部を改正する法律案」(以下,同法案中,検察官の定年ないし勤務延長に関する特例措置に関する部分を「本件検察庁法改正案」という。)について,報道によれば,政府が今国会での同法案採決を見送り,改めて秋の臨時国会での成立を目指す方針とされている。
 当会は,本年4月22日から「検事長勤務延長閣議決定の撤回を求め,検察官の勤務延長制度導入に反対する弁護士共同アピール」に賛同を求めるアピール活動を開始し,本日午後3時現在で呼びかけ人(日弁連正副会長・事務総長及び各弁護士会の会長経験者)219人,賛同2747人,合計2966人の全国の弁護士の協力を得ている。こうした多数の弁護士の声に基づき,当会は,これまでに,本件検察庁法改正案に反対して記者会見や政党・議員要請等の活動を行ってきた。
 本件検察庁法改正案については,当会が上記アピールへの呼びかけ・賛同が1500人に達したことを明らかにした5月8日の記者会見以降,多数の芸能人等を含む数百万件の抗議の声がSNSやインターネット上にあふれた。また,元検事総長らや元東京地検特捜部長らの検察OBからも「法の支配の危機」「三権分立の否定につながりかねない」「検察官の勤務延長は必要なく不要不急」など,深刻な危惧を訴える意見が相次いだ。同法案の内閣委員会での審議の際には,コロナ感染が広まる中にもかかわらず,多数の市民が国会を取り囲んだ。
 私たち弁護士が,三権分立,民主主義,法治国家としてのあり方や法の支配の根幹に関わる危機を訴えて上げた声が,こうした多くの良識ある人々の声と立場の違いを超えて響き合う中で,検察への政治介入を制度化する悪法の今国会での成立を阻止できたこと自体,重要な成果であり,心から歓迎したい。
 また,ごく短い期間であったが,多くの人々が,この国の司法のあり方や三権分立,民主主義や憲法について議論し合えたことは,今後の社会をよりよいものとする上で貴重な経験となったと確信している。
 しかし,本件検察庁法改正案の継続審議は,今後に重大な禍根を残す。
 政権が検察の人事に実質的に介入し検察に政治的コントロールを及ぼすことを可能とするような検察官人事制度は,断じて容認できるものではなく,本件検察庁法改正案は直ちに撤回されなければならない。
 私たち弁護士は,本件検察庁法改正案の継続審議ではなく撤回を求めて,引き続き声を上げ続けるものである。
以 上



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